情報提供(third party observations)は、第三者が係属中の特許出願に対して拒絶理由の存在や先行技術文献を知らせる仕組みであり、これが成功すれば、特許出願のクレームの限定や特許出願の拒絶につながる可能性があります。異議申立や取消訴訟のような特許付与後の手続に比べ、情報提供は低費用であり、製品販売への障害がない状態にするために非常に効果的な手段となります。
英国および他の欧州特許条約(EPC)締約国の状況に焦点を当てると、現在進行中の特許手続に関して、何人も欧州特許庁(EPO)または英国知的財産庁(UKIPO)に情報提供をすることができます。ただし、その者が既に手続の当事者である場合を除きます。言い換えれば、出願人は、自身の出願の手続に関して情報提供をすることはできません。
情報提供は、匿名でもすることができます。言い換えれば、当事者は自分の身元を明かすことなく情報提供することができます。これは、情報提供の背後に誰がいるのかを特許出願人に知られたくない場合に有利です。
情報提供は、特許出願の公開後、特許が付与されるまで提出することができます。この期間に提出された情報提供は、審査官によって考慮され、審査に影響を与えることができます。場合によっては、審査官が特許付与することを決定した後でも、情報提供が付与日前に受理され、特許付与の決定に疑義を生じさせる拒絶理由が含まれていれば、審査を再開させることも可能です。
特許付与決定後に受領された情報提供は、登録簿で一般に公開されることはあっても、時機を逸したとみなされ、審査官によって検討されることはありません。
さらに、EPOでは、異議申立や審判手続中に、付与された特許に対して情報提供することが可能です。そのため、特許付与後に情報提供され、その後その特許に対して異議申立がなされた場合、情報提供は異議申立手続の一部として考慮されます。
情報提供には、発明の「特許性」に関する拒絶理由を記載することができます。つまり、情報提供では、以下のような理由を申し立てることができます:
EPOにおける異議申立では、明確性欠如と単一性欠如は異議理由ではないため、係属中の特許出願に対してこれらについて情報提供することができることは重要です。
情報提供では、拒絶理由に加えて、拒絶理由を裏付ける証拠を提出することができます。証拠は、通常、先行技術文献、または、先使用の主張を立証するための文献の形で提出されます。
情報提供は文書で、電子的、郵送、直接のいずれかの方法で関連特許庁に提出します。EPOでは、情報提供は公用語 (英語、フランス語またはドイツ語) で提出しなければなりません。ただし、添付する証拠は、他の言語で提出することができます。
情報提供の提出に伴う庁手数料の納付は必要ありません (無料です)。
情報提供が提出された後、特許庁は遅滞なく情報提供を出願人または特許権者に通知します。出願人または特許権者は、情報提供に対して意見を述べることができます。
情報提供が発明の特許性を疑わせるものであれば、審査官は出願審査において情報提供を考慮しなければなりません。EPOでは、審査官は、情報提供を受領してから3ヶ月以内に当該特許出願に関する次のオフィスアクションを送付するよう最大限努力します。しかし、情報提供が匿名でなされた場合、このような手続の「促進」はなされません。
ここに示した情報は、簡略化したものであり、法律ならびに実務の決定的な情報ではありません。
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