欧州におけるライフサイエンス分野の特許に対する異議申立の傾向

欧州では、特許権を無効化する手段として異議申立制度が日本よりも多く利用されている。特に、ライフサイエンス分野は、異議申立される特許の割合が他技術分野に比べて高い。また、異議申立の最終処分は、取消決定となる割合が日本よりも欧州の方が高い。したがって、企業にとって、欧州での異議申立の傾向を理解することは、自社の特許権を競合他社から守るためにも、また、競合他社の特許権を無効化するためにも、重要である。欧州特許庁は、異議申立手続の迅速化を図るため、2016年7月1日に新たに合理化された手続の運用を開始した。筆者所属先の解析チームは、2009~2018年に欧州特許庁において異議申立期間が終了した特許に対して請求された異議申立について、特にライフサイエンス分野の特許に絞ってデータ収集および解析を行った。解析の結果、合理化された手続によって、欧州特許庁内での手続の迅速化が図られたこと、異議申立書に対する特許権者の答弁書提出期間の延長が例外的な理由を除いて認められなくなったことおよびそれらに応じて特許権者が異議戦略を変化させることにより、異議申立の早期決着が図られていることが分かる。

目 次

1. はじめに

2. 欧州特許庁および日本特許庁における特許異議申立の傾向および比較

2.1 欧日の全体的な比較

2.2 欧州特許庁において異議申立された技術分野別の特許件数

3. 欧州特許庁における異議申立の傾向

3.1 2016年7月導入の合理化された手続

3.2 審理期間

3.3 口頭審理までの期間

3.4 期間が短縮された手続

3.5 まとめ

4. 特許異議申立に関与するライフサイエンス分野の企業

4.1 異議申立された特許トップ20

4.2 異議申立された特許権者トップ20

4.3 異議申立人トップ20

5. おわりに

1. はじめに

欧州特許条約(EPC)は、第三者からの請求により欧州特許庁が下した特許処分を見直す異議申立制度を設けており、施行当初から長年利用されている。特許権を無効化する手段としては、日本も欧州も異議申立に加えて無効審判制度があるが、欧州における無効審判は、特許を有効化したEPC締約国毎に請求する必要がある。このことから、欧州特許庁に対する一の手続で特許権を取り消すまたは減縮することができる異議申立制度は、欧州において費用の面でも手続の面でも有用な制度といえる。

次章で説明するとおり、欧州特許庁では、日本と比べて3倍を超える件数の特許に対し異議申立がされている。

また、欧州の特許異議申立の最終処分の内訳は、2018年は27%が取消決定、41%が補正された状態での維持決定、32%が特許付与された状態での維持決定である1)。一方、日本の特許異議申立の最終処分の内訳は、2018年は13%が取消決定(含一部取消)、87%が維持決定(含却下)である2)。

したがって、企業にとって、欧州での異議申立の傾向を理解することは、自社の特許権を競合他社から守るためにも、また、競合他社の特許権を無効化するためにも、重要である。

欧州特許庁は、異議申立手続の迅速化を図るため、2016年7月1日に新たに合理化された手続(early certaintyまたはstreamlined procedureと称される手続。以下、「新手続」と称する)の運用を開始した3)。筆者の所属先は、新手続がもたらした変化を明らかにすべく、2009~2018年に欧州特許庁において異議申立期間が終了した特許に対して請求された異議申立について、主にライフサイエンス分野の特許に絞ってデータ収集および解析を行った。ライフサイエンス分野の特許に絞った理由は、欧州特許庁において異議申立される件数が多い分野だからである。解析結果からは、欧州特許庁から提供される限られたデータのみからは知り得なかったライフサイエンス分野特有の傾向を読み取ることができる。筆者の知る限り、新手続がもたらした変化を詳細に解析した例はないことから、ライフサイエンス分野以外の読者にも一見の価値があるであろう。

なお、本稿では、筆者の所属先が収集および解析を行ったデータを基にした筆者の所属先の欧州弁理士および筆者の共通の見解を掲載している。かかる共通の見解および筆者の見解は、必ずしも所属先を代表する見解ではないことを申し添える。

2. 欧州特許庁および日本特許庁における特許異議申立の傾向および比較

2.1 欧日の全体的な比較

欧州特許庁は、毎年発行する年次報告書にて、2018年の欧州特許庁における特許登録件数は127,625件であり、2018年に成立した特許に対し異議申立された特許件数の割合は3.2%であると報告している。欧州特許庁において、2009~2018年に異議申立された特許件数はおおよそ2,900~3,650件であり、最近の2年は高い傾向にある(2018年は3412件)4)5)。

日本特許庁の特許行政年次報告書2019年版によると、2018年の日本特許庁における特許登録件数は194,525件である6)。五庁統計報告書2018年度版、IP5 Statistics Report 2018 Editionによると、2018年の日本特許庁における特許成立件数に対する異議申立された特許件数の割合は、0.6%である7)。また、日本の特許異議申立制度は2015年4月1日から開始されたものであることから傾向を読み取ることは難しいが、日本特許庁の特許行政年次報告書2019年版によると、2016~2018年に異議申立された特許件数はおおよそ1,000~1,200件台(2018年は1,075件)であり、顕著な増加傾向はみられない。

2018年に異議申立された特許件数を比較すると、欧州特許庁において異議申立された特許件数は、日本特許庁における異議申立された特許件数の3倍を超える。2018年の欧州特許庁および日本特許庁における特許成立件数に対する異議申立された特許件数の割合は、上述の通りそれぞれ3.2%および0.6%である。

したがって、これらの数字から、欧州では日本と比較してはるかに高い割合で異議申立がされているといえる。

2.2 欧州特許庁において異議申立された技術分野別の特許件数

筆者所属先の解析チーム(以下、「解析チーム」と称する)の解析結果によると、図1に示すとおり、2018年の欧州特許庁における特許成立件数に対する異議申立された特許件数の技術分野別の割合は、食品科学分野が最も多く約11%である。これは、近年、環境や倫理問題から食(食品科学)への関心が高まっていることが一因と考えられる。同図に示すとおり、ライフサイエンス分野に属するバイオテクノロジー分野、医薬品分野および医療技術分野は、それぞれ4.3%、5.5%および2.7%である。

これに対し、2018年の技術分野別の異議申立件数の上位10分野をみると(図2)、医薬品分野の異議申立件数が最も多く、前述の医療技術分野およびバイオテクノロジー分野も、第4位および第7位となっている。医薬品の研究開発から認可、上市までにかかる時間および費用を考えると、医薬品分野の異議申立件数が多いのは当然といえる。

日本特許庁は、異議申立の技術分野別の割合は公表していないが、2015年4月から2018年3月末までの特許異議申立のIPC分類別のセクション毎の審理結果を特許庁ホームページ8)に公表しており、これによると、化学・冶金分野(IPC分類Cセクション)が最も多く、約3割の異議申立がされた特許が同分野に属する。次に多いのは、生活必需品分野(IPC分類Aセクション)である。

図1 2018年に異議申立がされた技術分野別の割合

図1 2018年に異議申立がされた技術分野別の割合

図2 2018年に異議申立がされた技術分野トップ10

図2 2018年に異議申立がされた技術分野トップ10

3. 欧州特許庁における異議申立の傾向

3.1 2016年7月導入の合理化された手続

欧州特許庁は、2016年7月1日から、異議申立案件の早期終結を目指し、合理化された手続の運用を開始した。

新手続では、特許権者の答弁書提出期間(4ヶ月)の延長を例外的な場合を除いて認めない、新たな事実・証拠の(遅れた)提出は、決定に明らかに影響を及ぼすものでないと認めない、等、審理期間を短縮するための様々な運用事項がある。

3.2 審理期間

欧州特許庁は、単純なケースについては、新手続導入前には19~27ヶ月であった審理期間を15ヶ月に短縮することを目標としている9)。なお、日本特許庁の特許行政年次報告書2019年版によると、2018年の日本における異議申立の審理期間は、平均7.2ヶ月であり、既に欧州特許庁の目標よりも短い期間で審理が終了している。

欧州特許庁のQuality Report 2019 10)によると、新手続導入以前は、平均審理期間が約30ヶ月でほぼ横ばいだったのに対し、2019年10月の時点で平均審理期間が約18.7ヶ月にまで短縮された。

解析チームが2009~2018年に異議申立期間が終了した表1に示す特定のライフサイエンス分野の特許権に対して申し立てられた5,000件以上の異議案件(以下、「特定ライフサイエンス分野の異議案件」と称する)について調査分析したところ、異議決定までの平均期間は、新手続導入前である2009~2014年に異議申立がなされた案件では顕著な変化はみられなかったが、2015年には平均22.1ヶ月、2018年には平均17.1ヶ月まで短縮された(図3)。

表1 調査対象の特定ライフサイエンス分野

Opposition Trends in Life Science Sectors in Europe Table (Japanese Translation)

図3 審理期間の変化

図3 審理期間の変化

3.3 口頭審理までの期間

図4に示すとおり、特定ライフサイエンス分野の異議案件については、口頭審理がより早期に行われる傾向にあったが、特に新手続導入後は、異議申立期間終了から口頭審理まで25ヶ月を超す案件がなくなり、大多数の案件の口頭審理が異議申立期間終了から10~20ヶ月以内に行われるようになった。

図4 異議申立期間終了から口頭審理までの時間

図4 異議申立期間終了から口頭審理までの時間

3.4 期間が短縮された手続

解析チームはさらに、特定ライフサイエンス分野の異議案件について、時間短縮が図られた手続を調査した。

(1) 答弁書提出期限が通知されるまでの時間

異議申立期間終了後、欧州特許庁にて異議の審理を担当する異議部から特許権者へ答弁書提出期限が通知されるまでの時間を図5に示す。新手続導入前は、異議申立期間終了後1~2ヶ月以内に発送されることが多かったが、2017月11月を境に大多数が1ヶ月以内に発送されるようになった。これはおそらく、欧州特許庁内での処理に変化があったものと思われる。

Fig-5

図5 異議申立期間終了後、異議部から特許権者へ答弁書提出期限が通知されるまでの時間

(2) 答弁書が提出されるまでの時間

次に、新手続導入前の2015年および新手続導入後の2017年の答弁書提出期限通知後に特許権者が答弁書を提出するまでの時間を、異議申立人が1人および複数人の異議案件について図6に、また、異議申立人が1人の異議案件のみについて図7に、それぞれ示す。答弁書提出期限は、答弁書提出期限通知から4ヶ月であり、異議部が許可すれば延長が認められる。

Fig-6

図6 答弁書提出期限通知後に特許権者が答弁書を提出するまでの時間(異議申立人が1人および複数人の場合)

Fig-7

図7 答弁書提出期限通知後に特許権者が答弁書を提出するまでの時間(異議申立人が1人の場合)

図6に示すとおり、新手続導入前(2015年)は、68%の特許権者が4~6ヶ月以内に応答し、約12%の特許権者が応答までに6ヶ月以上を費やしていた。これに対し、新手続導入後(2017年)は、4~6ヶ月以内に応答した特許権者は14.5%に減少し、応答までに6ヶ月以上を費やした特許権者はわずか1.6%であった。

異議申立人が1人の場合(図7)も、同様の傾向がみられるが、変化はより顕著である。新手続導入前は、約68%の特許権者が4~6ヶ月以内に応答し、約9%の特許権者が応答までに6ヶ月以上を費やしていたが、新手続導入後は、4ヶ月を超えて応答したのは、わずか約9%であった。

答弁書提出までの時間が短縮されたのは、特許権者がより早期に答弁書を提出しようと努力した結果なのであろうか。それとも、欧州特許庁の手続上の変更が答弁書の早期提出に何らかの影響を及ぼしているのだろうか。

この疑問を解消すべく、異議申立人が1人の異議案件の答弁書提出期限の延長について、さらに調査した結果を図8に示す。

Fig-8

図8 異議申立人が1人の異議案件の答弁書提出期限の延長の認否

新手続導入前は、62%が延長請求し、その内の96%と殆どの案件で延長を認められていたのに対し、新手続導入後は、延長請求したのは僅か18%で、さらにその内の34%しか延長が認められなかった。

延長が認められる割合の顕著な低下は、新手続導入前は延長請求理由が特になくとも殆どの場合で延長が認められていたのに対し、新手続導入後は延長は例外的な場合を除いて認めないという新手続の運用に従い延長を認めない場合が増えたことが大きな理由であると考えられる。

一方、特許権者も、延長は例外的な場合にのみ認められるという運用に対応するために、安易に延長を考えず、延長しなくて済むよう答弁書に応答する準備をするようになった結果、延長請求が減少したことが想像できる。

(3) 答弁書提出後口頭審理召喚通知が出されるまでの時間

Fig-9

図9 答弁書提出後口頭審理召喚通知が出されるまでの時間

次に、答弁書提出後、口頭審理召喚通知が出されるまでの時間についても調査したところ、2012年くらいまでは、平均6ヶ月程度に口頭審理召喚通知を出されていたものの、大きなばらつきがあった。これに対し、新手続導入後は、ばらつきが少なくなり、2018年は、平均3ヶ月以内の口頭審理召喚通知の発送を達成している(図9)。

3.5 まとめ

図10に2016年7月1日より前と2016年7月1日の新手続運用開始後の異議申立手続の時間軸の変化をまとめる。

審理期間の短縮は、早期終結を求める異議申立人や公衆にとっては喜ばしいものであるが、防御する立場の特許権者にとっては、図8に示した通り、答弁書提出期間の延長が通常認められないこととなった結果、答弁に必要な新たなデータの入手や専門家からの宣誓書などを準備する期間が短くなった。特許権者は、これまで以上に、防御に向けて先回りして準備する必要がある。

Picture10

図10 新手続導入前後の時間軸の変化

4. 特許異議申立に関与するライフサイエンス分野の企業

ライフサイエンス分野の特許は欧州特許庁において異議申立される件数が多いことは、2.2節にて説明したとおりであるが、実際に誰が異議申し立てを行い、誰の・どの特許が異議申立されているかを調査した。

4.1 異議申立された特許トップ20

表2に、欧州特許庁における2018年の異議申立人が多かった上位20位のライフサイエンス分野に関連する特許を示す。上位10位には、バイオ医薬品の製造方法や併用療法に関する特許が含まれる。バイオ医薬品の製造方法に関する特許の権利範囲には、広範囲にわたる治療剤の製造技術も含まれる場合があり、また、利用範囲も広い。併用療法に関する特許は、特許期限切れ医薬品の実質的な権利延長をもたらす。すなわち、これらの特許の権利範囲には、特許期限切れ医薬品に関する実施も含まれ得ることから、異議申立人の多さは、そのような実情を反映しているといえる。

また、表2に挙げられた特許には、2020年ノーベル化学賞受賞者が開発したCRISPR-Cas9技術に関する特許もある。同技術は、特許の世界でも非常に注目されているといえる。

表2 異議申立された特許トップ20

Opposition Trends in Life Science Sectors in Europe Table (Japanese Translation) 2

4.2 異議申立された特許権者トップ20

表3に、欧州特許庁において2018年に異議申立された上位20位のライフサイエンス分野に関連する企業を示す。これら上位20位の企業の主な事業は、化粧品、栄養品、医薬品、生化学、医療技術の技術分野である。

表2に示した異議申立人数が多い特許は、療法やバイオテクノロジーに関連するものであったのに対し、異議申立された特許権者は、化粧品や食品といった消費者製品を主な事業とする企業が多い。これは、研究開発および特許への投資戦略の違いによるものであると考えられる。

表3 異議申立された特許権者トップ20

Opposition Trends in Life Science Sectors in Europe Table (Japanese Translation) 3

4.3 異議申立人トップ20

表4に、欧州特許庁における2018年の異議申立人上位20位のライフサイエンス分野に関連する企業を示す。これら上位20位の企業からの異議申立が、異議申立件数総数の11%を占め、また、ライフサイエンス分野の特許に対する異議申立の過半数を占める。

1位の企業は、世界第2位のジェネリック・特殊医薬品会社であるMylanのことである。2位の企業は、ドイツの化学品・消費財の製造販売会社である。1位および2位の企業からの異議申立が、トップ20位のうちの25%を占め、また、ライフサイエンス分野の特許に対する異議申立の13%を占める。

これらの数字から、各企業の特許戦略における異議申立の重要度がわかる。

表4 異議申立人トップ20

Opposition Trends in Life Science Sectors in Europe Table (Japanese Translation) 4

5. おわりに

欧州では、日本よりも特許異議申立制度が多く利用されており、特に異議申立件数が多いライフサイエンス分野の企業の知財担当者および同分野を専門とする欧州特許弁理士は、豊富な経験に基づき様々なノウハウを構築している。

異議案件に関与する知財担当者・欧州特許弁理士であれば、新手続導入後の変化を様々な度合いで認識しているであろうが、今回の解析により、新手続導入後の変化が、数値化されてより明確となった。

新手続導入後は、これまで以上に異議申立人が準備する異議申立時の理由および証拠ならびに特許権者が準備する答弁書の高い完成度や充足度が求められ、特に答弁書ついては、延長を期待せず、4ヶ月の応答期間内に準備する必要がある。

日本の知財担当者や弁理士が欧州の異議案件に関与する機会はそれほど多くないかもしれないが、本稿が、欧州における特許異議申立の最近の傾向を理解する一助となれば幸いである。

注 記(引用文献)

  1. EPO Annual Report 2018 https://www.epo.org/about-us/annual-reports-statistics/annual-report/2018.html
  2. 特許行政年次報告書2019年版https://www.jpo.go.jp/resources/report/nenji/2019/index.html
  3. EPO Official Journal May 2016, A42 https://www.epo.org/law-practice/legal-texts/official-journal/2016/05/a42.html
  4. EPO Annual Report 2018、前掲1)
  5. EPO Annual Report 2013 https://www.epo.org/about-us/annual-reports-statistics/annual-report/2013.html
  6. 特許行政年次報告書2019年版、前掲2)
  7. IP5 Statistics Report 2018 Edition https://www.fiveipoffices.org/statistics/statisticsreports/2018edition
  8. 特許庁ホームページ、特許異議申立の統計情報 https://www.jpo.go.jp/system/trial_appeal/shubetu-tokkyo-igi/igi_moushitate_tokei.html
  9. 欧州特許庁ホームページ、Early Certainty: New opposition procedure from 1 July https://www.epo.org/news-events/news/2016/20160613.html
  10. EPO Quality Report 2019 http://documents.epo.org/projects/babylon/eponet.nsf/0/626FCEF63B72E852C1258593002640F4/$FILE/quality_report_2019_en.pdf (URL参照日は全て2020年10月16日)

武田恵枝
Satoe Takeda

本ブログの内容は、「知財管理」誌に掲載されたものである(第71巻、第5号、664~673頁)。
This blog was originally published in the Japan Intellectual Property Association (JIPA) Journal “Intellectual Property Management” in May 2021 (Vol. 71, No. 5, pages 664-673).